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リセットの実行。 文=郡山史郎 日本で唯一のビジネスマンのためのエージェント、株式会社CEAFOM代表取締役郡山史郎さんが、仕事を楽しみ、それにより人生の後半戦を充実させるための、様々なアイデアをご紹介します。

シャープの名社長だった辻さんが、ある日、人事部長に、このごろの新入社員は優秀だね、といいましたところ、人事部長は、そうですよ、社長なんか、いまのシャープにはとても入れませんよ、と答えたという逸話があります。
有名一部上場会社の社長で、自分の会社に、縁故ならいざしらず、実力で入れる人は、皆無かもしれません。まずPCが自在に使えませんと、論文ひとつ、プレゼンひとつ作れません。これは、読み書きそろばんが出来ないのと同じで、最初から相手にされないのです。次に携帯電話。会社からの連絡のための必需品です。もちろん24時間使うのです。
昔ソニーにいたとき、新しい携帯をみせられて、キイとバックが同じ色のデザインでは 見分けがつきにくいといいましたら、郡山さんは見て操作するのですか、と驚いた顔で聞かれました。ではなぜ数字がキイに書いてあるのだ、と訊いたのですが、ああ、それは飾りですよ、と片付けられました。 このような世代はそれなりに、仕事が速い。キーボードでも電卓でも、ブラインドタッチで機関銃のような音を立てて叩く。それだけではない。PCの複雑なソフトを平気で使う。こちらはコンプレックスの塊になります。
まあ、試験を受けて入ったのではありません。取引先の社長そのものですから、極端な、縁故採用ですね。すこしくらい仕事が出来なくても、許してくれます。
新入社員には研修があります。その前にオリエンテーションというのがあって、トイレの場所やら、セキュリティのシステムなどを教えてくれます。電話の掛け方や、お辞儀の仕方を教わる研修には出なくて良いということになりました。この辺はベテランの強みですね。
いよいよ机の位置が決まり、ということは配属が決まり、上司が紹介されました。もちろん30歳くらい年下、息子と同世代です。こちらはなんとも感じません。実際に息子だったら御免こうむりますし、自分が鍛えた昔の部下が上司だったら、即刻、会社を辞めますね。それほど、惨めな話はない。しかし、全く新しい会社で、見ず知らずの人から、指図されたり、教わったりしてもなんともない。若いコーチにゴルフやテニスを教えてもらっているのと同感覚です。
もちろん、先方はやりにくそうですね。そこをなんとかこちらもへりくだって、長年鍛えた顧客対応の技術でうまく上下関係を作りました。このへんもベテランの威力ですね。相手が何を考えているか、何で困っているか、すぐわかりますから、それに合わせていけばいいわけです。 仕事自体は、知識は豊富だし、やり方も知っていますから、こなせてしまいます。ただ、ああそれはうまくいかない、とか、その方法ではだめだ、とすぐわかってしまいますので、それを口に出さないでいるのはつらいですね。はいはい、といって、やれるだけのことはやる。決して意見を言わない。何かを聴かれたら、「それもいいでしょう」などと言って、決して反対しない。なにしろ新入社員ですから、いくら失敗してもかまわないわけです。
中途採用とか、知識や経験を頼られて、それなりの給料をもらってしまうと、そうはいかないです。自分の意見を言って行動し、その結果に責任を負わなければならない。それでは今までの延長線上の話です。そして、加齢により能力が落ちていますから、惨めになります。新入りは気楽なもので、これに限ります。 ただ、肉体的にはつらいですね。クリーク・アンド・リバー社は週一回、ほんとうに雑巾がけをさせる。また、労働時間が馬鹿に長い。夜の9時でもほとんど誰も帰らない。がんばって試しに遅くまでいてみたら、みんな12時頃まで平気でいる。
なにしろ、私が夜の9時頃に会社を出ると、外出先から帰ってくる社員に出会って、「行ってらっしゃい」などと言われる。馬鹿やろう、と返事をしたくなります。
一緒に入社した仲間は、同期だといって仲良くなります。今でもつきあっている人が何人かいます。困ったことに、私は半年で子会社の社長になり、二年目には監査役になってしまいました。ふつう、新入社員が監査役になるには四十年くらいかかります。わたしは二十倍のスピード出世をしてしまいました。 そのいきさつは次回のお楽しみに。

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ソニーが挑んだ復讐戦―日本再建の軌跡 ●ソニーが挑んだ復讐戦―日本再建の軌跡 (単行本)
著者:郡山 史郎 内容(「MARC」データベースより)
井深、盛田、岩間、大賀という、歴代の経営者たちを至近距離から見つめ、その考え方、人柄の多くを知るソニーのトップ・マネジメントが、体験と見聞をもとに、これまで語られなかったソニーの実像に迫る。

郡山史郎(こおりやま しろう) Shiro Koriyama

ラサール高校、一橋大学経済学部卒業

非エリート、転職歴4回、出向歴2回、創業歴1回。
専門領域は、海外事業、マーケティング、経営技術、ベンチャー創業。
元ソニー株式会社常務取締役経営戦略本部長。ソニーPCL株式会社社長。
現在は、日本で唯一のビジネスマンのためのエージェンシー株式会社CEAFOM(シーフォーム)代表取締役。
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