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グルメ アンチエイジングクッキング

第2回 アンチエイジングクッキングのコツ。文・白澤卓二/料理製作・多田鐸介 医学博士・白澤卓二先生が、アンチエイジングの視点から求められる食生活を分かりやすく解説するシリーズです。毎回「ユリス麻布十番」総料理長・多田鐸介さんによる、アンチエイジングレシピもご紹介します。第二回は、アンチエイジングクッキングのコツをご紹介します。

●スパイスやハーブを上手に活用

料理の香りや味付けには、アンチエイジング効果の高いスパイスやハーブを使ってください。これらのスパイスやハーブの中には、微量の成分で、健康を増進させる薬理作用を持つ化学成分が含まれています。野菜の中に含まれている植物化学物質(フィトケミカル)にくらべ、スパイスやハーブの成分は薬理作用がはっきりしている点が特徴的です。料理に使う量が限られているのも、その薬理作用のためであるとも考えられます。しょうが、胡椒、シナモン、ターメリックなどは、少量で十分に味付けなどの役割を果たしていて、健康にも微量で作用しうる成分が明らかにされています。
例えばカレー粉として汎用されているターメリックのなかの化学成分、クルクミンには様々な薬理作用が実験室レベルで確認されています。ハツカネズミにクルクミンを毎日摂取させると、年を取ったネズミの死亡率を下げる効果があることが示されています。高齢期の認知症のなかでも、治療法の確立されていない病気として知られるアルツハイマー病は、アミロイドβというタンパク質が脳の中で凝集を起こしてしまう病気であることが最近の研究で明らかにされています。驚いたことに、カレー粉の成分であるクルクミンを加えると、試験管の中のアミロイドβタンパク質の凝集が抑制されることが明らかにされました。
認知症の発症には10-20年の長い年月が必要で、予防薬となると20年もの長期に渡り副作用を心配しながら薬を服用しなければならなくなります。もし、カレーの様な食材を選択することにより、認知症予防効果のあるアンチエイジングメニューを組み立て、日々実践することが出来れば、副作用もなく脳の中の病的変化を抑制し、アルツハイマー病の発症を予防する事が可能となります。まさしく、自らの努力と知識とアンチエイジングライフの実践により自分の健康を作り上げていく予防医学の典型的なスタイルであると考えられます。

●食材の生育環境とアンチエイジング効果

食材の中に含まれている抗酸化物質は、植物や動物が自らの身を守るために備えている防御機構であると考えることができます。従って、抗酸化作用が強い食材を選択するポイントの一つは、その食材の育った環境を知ることです。基本的に植物は外敵から自分の身を守るために自らの足を使うことにより外敵の攻撃を避けることはできません。しかし、外敵は必ずしも天敵の動物だけではありません。直射日光や寒冷、干ばつ、風、雨などの物理的ストレスや宇宙線のような放射線などから、自分自身を守らなければならない環境で育っています。
一方、植物が守らなければならない成分で最も大切なものが自分自身の種です。何故なら、種の中に自らの遺伝情報が詰まっているからです。遺伝情報が書き込まれているDNAは動物も植物も全く同じ構造をしています。しかも、DNAは酸化ストレスに大変弱い特性を持っているのです。だから、すぐにDNAは酸化してさび付いてしまうことが知られています。いったんさびつくと子孫を残せないことになり、その植物の系統自体が危機に曝されることになるのです。
そこで、植物は過剰なまでの抗酸化物質で自分自身の種を保護する戦略を取っていると考えられます。果物の実や皮に抗酸化物質が高濃度に含有されているのはこのためです。この様な理由から、生育環境が野生に近ければ近いほど、その植物や動物は、アンチエイジングに適した食材になっている様です。ギリシアや南イタリア産の食材の抗酸化能が強いのも、強い日差しを受けて育った野菜や果物が、自分自身の種を守るための防御として、実の中に抗酸化物質を蓄えた結果であると考えられます。つまり、アンチエイジングメニューの組み立ての基本として、より抗酸化能力の高い食材を選ぶことからアンチエイジングクッキングがスタートすると考えてください。

アンチエイジングレシピ

まぐろの赤身 ペッパーレアステーキ 203kcal

黒粒こしょう、ミント、マスタードなどのアンチエイジング・スパイスを使ったまぐろのレアステーキです。まぐろの赤身には美肌作り、肩こり、腰痛に効果があるビタミンE、貧血の予防に効果的に作用する鉄が多く含まれています。こしょうは辛み成分であるピペリンがアミノ酸やビタミン、ミネラルの吸収を高めることから、ローマ時代から使われている香辛料の王様です。まぐろとの絶妙のコンビネーションをお楽しみください。

[作り方]

@A(まぐろ)にはけで、B(マスタード)をぬる。
A1にC(黒粒こしょう)をまぶしつける。
B2をフライパンで強火で表面を軽く焼く。
C3を1cm幅に切り皿に盛り、D(ミックスリーフ)を真ん中に盛る。最後に * ミントオイルをたらす。

[ワンポイント・メモ]

・マスタードは、まぐろに黒粒こしょうをつけるのりの役割を果たす。

[アンチエイジング・ポイント]

マスタード、黒粒こしょう、まぐろ、ミントオイル

[材料(2人前)]

A まぐろ さく150g(1/2にし、塩をふる)
B マスタード  20g
C 黒粒こしょう  適量
D ミックスリーフ 適量 ドレッシングa(5cc)で混ぜておく
* ミントオイル  適量


* ドレッシングa
[材料 (比率)]
赤ワインビネガー 1
ディジョンマスタード 1
シェリービネガー 1
エクストラバージンオリーブオイル 3
塩こしょう 適量

 

関連情報

アンチエイジング・クッキング 「アンチエイジング・クッキング」(講談社)
白澤卓二 監修・執筆、多田鐸介 料理製作/講談社 税込1,680円
●出版社 / 著者からの内容紹介
美しくなる食事、若返る食事
本書では老化を引き起こす真犯人、活性酸素を減らす抗酸化食材を取り入れたアンチエイジングメニューを紹介。あわせて、アンチエイジングの食生活法を提言。
●内容(「BOOK」データベースより)
アンチエイジングの視点から、求められる食生活を提言。抗酸化物質を多く含む食材が老化予防のキーポイント。掲載料理には、それぞれのアンチエイジングの効能と作り方を掲載。

白澤卓二

白澤卓二(しらさわ たくじ)Takuji Shirasawa

千葉大学大学院医学研究科博士課程卒。
順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座 教授
株式会社アンチエイジングサイエンス取締役CSO
日本抗加齢医学会理事 日本基礎老化学会幹事
寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリート遺伝子の研究を専門とし、日本抗加齢学会理事を務めるなど、アンチエイジングの第一人者の一人。主な著書に「老化時計」「長寿と遺伝子」がある。



多田鐸介

多田鐸介(ただ たくすけ) Takusuke Tada

「ユリス麻布十番」代表取締役総料理長
ル・コルドン・ブルー・パリで学び、パリのミシュラン星付きのレストランで料理に携わる。ル・コルドン・ブルー・パリ東京校開校とともに帰国し、講師に就任。その後大手ホテル・レストランを経て、ドイツの厨房機器メーカー「ラショナル社」のフードアドバイザーに就任。病院食・介護食に深く携わる。2002年ユリス麻布十番開店。著書に「三浦家の元気な食卓」がある。

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