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グルメ 「“話のタネ”に食べてみた!史上最強 セレブのお取り寄せ」

第4回「米のロマネコンティ!天空米(てんくうまい) 5kg 一萬円」 文・わぐりたかし 人気のセレブ番組「世界バリバリ☆バリュー」の放送作家わぐりたかしさんが、番組で紹介した

今、気になる「天空」が3つある。
まずは、究極の温泉リゾートと噂の「鹿児島妙見温泉雅叙苑・天空の森」。里山の手入れに7年の歳月をかけたという13万坪もの広大な敷地の山の頂上に、一日一組限定、天空に抱かれた露天風呂付きのVIP専用ヴィラがある。昼は遠く霧島連峰を望み、夜は満点の星に包まれて温泉にゆったりつかる贅沢。きっと星に手が届く。とはいえ一泊一人15万円、夫婦で行けば30万円、子連れで行けば……。それだけじゃない。とびっきり上等なワインリストも用意されているらしい。誘惑にかられていい気になってボトルを開けると…。かなりの勇気がいる。気になる「天空」二つ目は、今年7月に全線開通したチベットの「天空列車・青蔵鉄道」。全長1956km、標高5072mの峠越えもある世界一の高原を走る鉄道だ。旅の終着駅は秘境チベットの都ラサ。行きたい。スケジュール表をめくる。う〜ん、しばらくは列車の写真でも眺めて過ごすしかなさそうだ。さぁ、そしていよいよ本題だ。気になる天空その3つ目は、誰が呼んだか"米のロマネコンティ"、幻の「天空米」である。

南魚沼産、伝説のコシヒカリ「天空米」、5kgで1万円。もともと日本有数のブランド米である魚沼産のコシヒカリだが、それにしてもこれは尋常ではない値段だ。だが、温泉とチベットを我慢する代わりに、話のタネにこれくらいの贅沢は許してもらおう、ということで、今、目の前に、光り輝く真珠のような天空米が届いた。

天空米の名前の由来を聞いて驚いた。見て驚いた。南魚沼市にある石打丸山スキー場のシーズン前のゲレンデ、4人乗り高速リフトの座席に黄金色に輝く稲穂がかけられ、秋の空高く天空を舞うように天日干しされている。これが名前の由来。全長800m、標高差200mのリフトを朝から日没まで稼働させて約一週間、太陽の位置や風の向きを見ながら、速度を変えたり止めたり、裏も表もなく陽の光と風をまんべんなく当てる。すると、藁に残された旨味成分が米粒に吸収され、同時に米粒に残る水分が適度に飛ぶ。雨が降ったら即、リフトを格納庫に取り込むことができるので、味を落とすことがない。夜露にも晒さずにすむ。今は懐かしい風景となってしまった昔ながらの天日干し"はざかけ"の進化形、いや理想形ともいうべき"空飛ぶはざかけ"である。

スキー場を運営しているのは地元農家の方々で、シーズンオフのリフトの有効活用を考えていて「天空米」を思いついたそうだが、よくぞ。最近はコンバインで刈り取ってその場で脱穀までしてしまうため、じっくり旨味成分が米粒に溶け込むのを待ったりはしない。プラス機械乾燥だ。刈り取って出荷するまで慌ただしく一日で片づけてしまう。ところが天空米は手間暇たっぷり一週間かかりっきり。おまけにリフトで作業できる米の量に限界があるため、そう多くは作れない。生産量は米俵にしてわずか60俵。それも、魚沼産コシヒカリの中でも、土地良し、水良し、気候良し、献上米としても知られる最上級大沢地区の極上「大沢米」とくりゃ、お値段、高いのも納得である。

さーて、光り輝く天空米は土鍋で炊くことにしよう。あ、いや、これは天空米だから特別扱いするわけではない。何を隠そう我が家ではいつも土鍋ごはんなのだ。炊きたてのおいしいごはんは、食卓にドンと置かれ、何よりのメインディッシュとなる。土鍋といっても、どこぞの窯元の名匠が焼いたような特別な代物ではない。東急ハンズで5,250円の萩焼。ところがこれで炊くごはんの旨いのなんのって。「はじめチョロチョロなかパッパ」などとよく聞くが、そんなこんなもすべて土鍋におまかせだ。炊きあがるのを待って火を止めて待つだけでいい。誰に言ってもにわかには信じてもらえないのだが、本当にそれだけでいいのだ。最近よく「土鍋ごはんあります」などと自慢げに言う料理屋があるが、なんのなんの、うちは毎日、炊きたてほかほかの土鍋ごはんなのである。

きたきたきた。ふくよかないい香りが辺りを漂いはじめる。火を止めてじっくり蒸らす。おっとその前に一瞬火力を強めて、おこげを作っておこう。よしっと。さぁ、出来た。ずっしり重い土鍋の蓋を開ける。すると…、むむむ、これは何だろう…、鼻孔を微かにくすぐる複雑な甘い香り。いつもの米とは何かが違う。地元農家の方に聞いたところ、大沢米の炊きあがりの香りは、同じ魚沼産コシヒカリでも、よそでは絶対出ないという。水田に引き込む清流大沢川の水に溶け込んだ温泉のミネラル分がもたらす奇跡の香りなのか。米粒はふっくらつややかで透明感を感じさせる。まさに銀シャリ。はふはふはふ。こんな旨い米があろうとは、お釈迦様でもご存じあるまい。

そうだ、せっかくだ、米の旨さが一番よくわかる塩むすびにでもして、外に出て遠足気分で頬ばろうではないか。どれどれ、おっ、見上げると秋の空。

土鍋とごはん 塩むすび

協力:世界バリバリ☆バリューの本「史上最強!セレブのお取り寄せ」
  (アスコム刊 大好評発売中)

関連情報

仏蘭西焼菓子調進所 足立音衛門 JLC 日本リフトサービス
天空米(大沢米)
5kg 10,000円(送料込、一人30kgまで)
〒949-6372 新潟県南魚沼市石打1655番地
025-783-3456

我が家愛用の土鍋:
超耐熱ごはん釜「土釜・萩一珍 3合炊」(東急ハンズ) 圧力重石釜が釜内の圧力を調整。ごはんを炊くときの「はじめチョロチョロなかパッパ」はすべて土釜がやってくれる。蓋も取っ手も、鍋つかみで持ちやすい構造。鍋敷き、しゃもじ付き。

わぐりたかし

わぐりたかし Takashi Waguri

放送作家。
超ゴージャスなセレブ番組「世界バリバリ☆バリュー」(TBS)から、その対極にあるスローライフな雑誌「ソトコト」のTV版「ハッピー!ロハス」(BS朝日)まで幅広い番組を担当。今話題の"美食の王様"来栖けい、築地王B級グルメ王ヤキニクエスト東京カリ〜番長をはじめ、グルメ雑誌編集長や人気フードライターなど飲食業界で活躍する知己に恵まれ、超A級三つ星クラスから庶民派B級グルメまで美味しいモノの情報には事欠かない。汐留名物「汐留らーめん」の発案者であり、「日本フードジャーナリスト会議」を主宰。「野ブタ。をプロデュース」「愛の流刑地」などのドラマ企画も手がけ、出版プロデューサーとしても活躍中。

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