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グルメ 「“話のタネ”に食べてみた!史上最強 セレブのお取り寄せ」

第17回 おもたせのエンペラー!紫野和久傳「すっぽんの煮こごり」 1個 八千四百円  文・わぐりたかし 人気のセレブ番組「世界バリバリ☆バリュー」の放送作家わぐりたかしさんが、番組で紹介した“話のタネ”になる超高級グルメ&食材を毎週1つ、プライベートでお取り寄せ。日々の暮らしを楽しむわぐりさんならではの、よくあるグルメ情報とはひと味もふた味も違う、美味しい生活を綴った食エッセイです。

「すっぽんかまされた!」
京都あたりの飲食店では、予約客が当日ドタキャンどころか電話の一本もなく姿を見せないとき、「すっぽんかまされた」と言って胃をきりきりさせるという。語源は「すっぽかされた」からの洒落っけのある転用に違いないが、仕入れや下ごしらえがムダになった揚げ句に席が空くのだから、本当はシャレなんか飛ばしている場合ではない。もっとも、すっぽんにしてみれば、勝手に名前を使われてとんだいい迷惑だろうが、ちなみにそもそも「すっぽん」の語源は…、と話が横道にそれるその前に、まずは京都「紫野和久傳(むらさきのわくでん)」の逸品「すっぽんの煮こごり」である。

煮こごりが、きらきらと琥珀色に輝いている。
スクエアなガラスの器が見た目に涼やかで、ちょっと贅沢な"おもたせ"の定番としても知られている。京都・高台寺の老舗「和久傳」を本店とする懐石料理の「紫野和久傳」作。そのままでもよし、温めてスープにしてもよし、雑炊にしてもまたよし。一から手作り、混じりっけなしのぷるぷる天然コラーゲンたっぷりで、ありがたくって、見ているだけでパサパサした乾燥肌もたちまちしっとり、ハリとツヤが出てくる気さえする。

紫野和久傳は、実はぷるぷる系が得意だとひそかに睨んでいる。
雑誌の手みやげ特集などでよく見かけるもう一つのおもたせの定番「西湖(せいこ)」が有名だが、これもまた極上のぷるぷる系だ。ご存じない方のために説明すると、西湖は蓮根のでんぷんと和三盆糖、糖蜜を練りあげて蒸した生菓子で、青々とした生笹で一つひとつ包まれている。元はといえば懐石弁当の菓子が評判となり、独り歩きして人気を博したものだが、笹をほどくとぷるんっとしていて、もちもちっとした口当たりと、つるんとすべりこんでいく喉ごしがたまらない。秋冬には蒸してもおいしくいただける。

さて、すっぽんは全国有数の養殖地でもある長崎産だ。
脂肪や血をきれいにとりのぞき、水と酒でアクを抜きながらじっくり長時間煮込んで、うま味たっぷりのスープをとる。コラーゲンのかたまりともいえる甲羅のまわりの希少なやわらかい部分、エンペラはこれはこれで別に煮込んでスープを取り、二つのスープを合わせて、生姜、醤油で味をととのえ、琥珀色に仕上げる。ではではと、さっそく冷やした煮こごりをそのままいただいてみる。すると、舌の上でスッと溶けたあとに、ひんやり喉もとを通過し、やがて旨味と共にほのかな生姜の香りがふくらんでくる。しみじみ滋味あふれる上品な大人の味だ。細胞の隅々にしみわたっていく。それはそうと、エンペラはなぜエンペラというのかその語源がちょっと気になる。イカの頭の三角の部分もやはりエンペラというが、甲羅の縁、縁辺(えんぺん)のぺらぺらした部位ということで、縁ぺら(エンペラ)だろうか…。どなたかご存じの方がいたら教えていただきたい。

語源といえば、「和久傳」という名の由来を聞いた。
古くは、福井の小浜で回船問屋を営んでいたそうだが、屋号が「湧屋」で、代々の当主が「傳右衛門」。だったら「湧傳」でもよさそうなものだが、明治3年(1870年)、福井から丹後の峰山に移って料理旅館を始めるときに、「傳」右衛門と、女将の名「久」、それに、人の輪がいつまでも「和」やかなようにとの願いを込めて「和久傳」とした。湧傳と和久傳ではイメージが、月とすっぽんだ。ちなみにこの和久傳、『愛の流刑地』や『失楽園』の作家、渡辺淳一や数多くの著名人がご贔屓にしている名店でもある。

ところで話は戻って、
「すっぽん」は、なぜ、すっぽんというのか、その語源にはいくつかの説がある。

(1)すっぽんが水にとびこんだときの音
(2)水の中から出没(シュツボツ)するから、シュツボツがなまってスッポン
(3)形が似ている「朱盆(シュボン=朱塗りの丸盆)」がなまってスッポン
(4)鳴き声

ここでは、誰がなんと言おうと世界の真ん中で力強く(4)を採用したい。
すっぽんは臆病な上に夜行性なので、脅かさないように夜中にまっくら闇の中で物音ひとつ立てず耳を澄ましていると…

「スゥゥゥゥゥゥ〜ッ、ポン!」

と、かすれたような鳴き声が聞こえてくる。
これ、ある番組で検証したので、正真正銘、本当の話なのです。


琥珀色に輝く「すっぽんの煮こごり」

琥珀色に輝く「すっぽんの煮こごり」

「すっぽんの煮こごりパスタ」にしてみました。食べているうちに熱で溶けてスープスパゲッティになります。

「すっぽんの煮こごりパスタ」にしてみました。
食べているうちに熱で溶けてスープスパゲッティになります。

海苔を敷いた「すっぽんの煮こごり丼」もいけますよ。やはりごはんの熱で溶けて、お茶漬けさらさらになります。

海苔を敷いた「すっぽんの煮こごり丼」もいけますよ。
やはりごはんの熱で溶けて、お茶漬けさらさらになります。

海苔を敷いた「すっぽんの煮こごり丼」もいけますよ。やはりごはんの熱で溶けて、お茶漬けさらさらになります。

ぷるん、つるんっとした食感が独特で美味な「西湖」



協力:世界バリバリ☆バリューの本「史上最強!セレブのお取り寄せ」
  (アスコム刊 大好評発売中)


関連情報

「すっぽんの煮こごり」 ◆紫野和久傳「すっぽんの煮こごり」
1個(ガラス容器入 800cc) 8,400円
サイズ 縦10.8cm×横10.8cm×高さ12.5cm
賞味期限 4日間(要冷蔵) 3日前までに要予約
Tel:075(495)5588 Fax:075(495)5577

「西湖」
↑拡大写真はこちら
◆紫野和久傳「西湖」
竹籠・桐入・陶箱入があり、おもたせや手みやげにふさわしい。叶姉妹もお気に入りだ。

「厳選 塩沢こだわり米」◆南魚沼産コシヒカリの芸術品「厳選 塩沢こだわり米」
e-select
10kg \15,000(税込)
今回、煮こごり丼とおじやには、南魚沼産コシヒカリ最上級特A米「厳選 塩沢こだわり米」を炊いてみた。発酵コンブを使った土作りや、米ぬかや玄米黒酢を利用した完全無農薬栽培で評判になっているロハスな極上米だ。米ぬかは稲の大敵ヒエをおさえる効果があると同時に、微生物によって分解され肥料にもなるという。人も稲も健康が一番!
わぐりたかし

わぐりたかし Takashi Waguri

放送作家。
超ゴージャスなセレブ番組「世界バリバリ☆バリュー」(TBS)から、その対極にあるスローライフな雑誌「ソトコト」のTV版「ハッピー!ロハス」(BS朝日)まで幅広い番組を担当。今話題の"美食の王様"来栖けい、築地王B級グルメ王ヤキニクエスト東京カリ〜番長をはじめ、グルメ雑誌編集長や人気フードライターなど飲食業界で活躍する知己に恵まれ、超A級三つ星クラスから庶民派B級グルメまで美味しいモノの情報には事欠かない。汐留名物「汐留らーめん」の発案者であり、「日本フードジャーナリスト会議」を主宰。「野ブタ。をプロデュース」「愛の流刑地」などのドラマ企画も手がけ、出版プロデューサーとしても活躍中。


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