「“話のタネ”に食べてみた!史上最強 セレブのお取り寄せ」

我が人生における「いちご3大びっくり事件」がある。
まず、何が驚いたって、"いちごシャンパン"だ。映画『プリティ・ウーマン』(1990年公開)で、リチャード・ギアがジュリア・ロバーツをホテルのペントハウスに誘って、「いちごをどうぞ。シャンパンの味が引き立つから」といかにもセレブーな感じで勧めるシーンに出会うまで、いちごとシャンパンの組み合わせは想像すらしたこともなかった。
2つめは、"いちご大福"誕生の瞬間だ。
1985年のこと。当時のフジテレビ通りにあった老舗和菓子処「大角玉屋」(創業1912年)を訪れた際、三代目の大角和平が嬉しそうに、ちょっと試食してみてくれと、まだ商品化する前の豆大福を一個、さし出した。見た目はごく普通の豆大福だったが、ガブッと一口かじってびっくり。ジューシーで甘酸っぱいいちごの汁がジュワっと口いっぱいに広がって、そこへいちごを包むつぶ餡の甘さが追いかけてくる。これはいったい何ごとかと断面を見ると、丸々としたいちごが1個入っていた。衝撃だった。そこでさっそく、とある番組で「和菓子革命」と紹介したのだが、大福にいちごというミスマッチ、それにビジュアルのインパクトと食べたときのリアクションがテレビ的だったことも加わってか、評判が評判を呼んで、あっというまに名物となり、玉屋はいちご大福の元祖としてその名を和菓子の歴史に刻むことになる。
さあそして、我が人生における「いちご3大びっくり事件」の3つめが、ほかでもない、まさに今、目の前にある一粒1250円の"幻のももいちご"である。桃のようにまるく大きく甘いいちごだから、ももいちご。シンプル・イズ・ベスト!これはもうネーミングの勝利にほかならない。元をただせば愛知県農業総合試験場園芸研究所が開発した「愛知2号」が出願時の名前で、一部地域で「あかねっ娘」(通称あかね)として流通していた。これに目を付けた大阪中央青果市場が、昼夜の寒暖差がありもっともいちご作りに適した風土と条件がそろっていると狙いを定めたJA徳島市佐那河内(さなごうち)村支所とタッグを組んで日本一のいちごを目指して共同開発した。あかねじゃ、あかんねん。ももいちごじゃなくっちゃ。
"ももいちご"は、登録商標だ。
ブランド管理は、シャネルやヴィトン並に徹底している。栽培方法など契約を結んだ佐那河内村の農家36軒以外、品質が保証できないため、ももいちごの名前を使うことは一切認められていない。日本全国のいちごの生産量は年間約18万トン。そのうち、ももいちごはわずかに140トン。さらに贈答用の特大サイズとなると、そのまた0.3%、つまりいちご全体の0.00002%にすぎない。収穫量が極端に少ないので取り扱いは共同開発した大阪の市場に限定され、特に上物は、市場の関連会社である空港ショップとその直営ネットショップ、在阪の百貨店など一部でしか販売されていない。出荷は11月後半から長くて3月いっぱい。1月後半から2月にかけてもっとも大きく甘くなるピーク時には、一箱12粒の特大サイズが時価2万円にもなるというから、これはもうお化けいちごだ。
ももいちごの産地である佐那河内村は、日本百名山の一つ、剣山(標高1954m)に連なる山脈の東端に位置し、清流と緑の山々に囲まれた、いちご栽培にうってつけの土地だ。平野部より日照時間が短いため、いちごが赤く色づくまでにじっくり日数がかかる。おかげで実が大きく育ち、酸味がほどよく抜けて甘くてジューシーないちごになる。その上さらに、ふつう一株に20から30の花が咲くところを、4、5個にまで摘花して栄養を集中させ、より大きないちごにする。また、いちごは通常、クリスマス商戦をにらんで11月から12月の寒い時期にハウスをボイラーで温めて成長を促すが、ももいちごは4月、5月の苗の時期から、日中、ボイラーを焚いて夜との寒暖差をつける。この温度管理は非常に繊細で費用と労力が必要となる。さらに、果肉がやわらかく大きく重たいため、放っておくと土と接して傷んでしまうので、クッションを敷いて土に触れさせないようにするなど、一粒一粒に相当な手間ひまをかけている。当初、農家のあいだでは、それほどまで手をかけてやらなければいけないのかという声もあったが、全国各地でブランドが乱立しているいちごの世界で生き残るため、一致団結して日本一をめざした。そしてみごとに"幻のいちご"を結実させた。
ところで、いちごはバラ科だ。
リチャード・ギアに対抗して、「さあ、ももいちごをどうぞ」と、バラの花束を贈るように、ももいちごを妻にプレゼントしよう。ももいちごは、すこぶる香りが良く、しばらくテーブルの上に飾っておけば、あたりに甘く芳しい香りが漂い、夫婦間のどんないざこざや揉め事もたちまち消えて、部屋中がスイートないちご畑となる。はずだ。ちなみに、いちごの花言葉は、「幸福な家庭」である。
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ティーカップの横に並べてみました。一口じゃ食べられない大きさですよ。 |
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ほら、中は、みずみずしい白桃のよう! |
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写真奥に見えるのは、沖縄出身のバンドBEGIN考案!指一本で弾けるオリジナル4弦ギター「一五一会(いちごいちえ)」です。いちごだけに…(笑) |
協力:世界バリバリ☆バリューの本「史上最強!セレブのお取り寄せ」
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関連情報
◆空港センカ旬めぐりショップ「ももいちご」12粒(7L超特大サイズ) 15,000円
株式会社センカは、ももいちごを共同開発した大阪市中央卸売市場の卸会社、大阪中央青果の関連会社で、日本中の空港内にショップを持っている。ももいちごを開発後、大阪空港のショップで辛抱強く3年間販売しつづけ、そのおかげでクチコミで広がった。そういう意味で、ももいちごは、ブームとなった「空弁」や新東京みやげ「東京ばな奈」と同じく、空港発のヒット商品ともいえる。
◆和菓子処「大角玉屋」
1985年に誕生した「いちご豆大福」は衝撃だった。
◆南青山「和菓子まめ」南青山の裏路地にある古民家を改装した雰囲気のある和菓子店。京都出身の女将が作る季節限定の上品なこし餡のいちご大福は、大角玉屋の元祖誕生から20年でここまで進化したかと感慨ひとしおの逸品だ。










