「7月」
温度が高くなり、喉が渇く季節となって参りました。日本の各ビールメーカーを敵に回すことになるかもしれませんが、あくまでも一個人の意見では、世界各国のビールを飲んで、このビールが一番好きです。その名も、"Hoegaarden White"(ヒューガルデンホワイト)。メイドインベルギーです。
ヒューガルデンホワイトは、世界でもっとも人気のあるホワイトビールの1つと言われています。
ベルギーで飲まれているスペシャルビール(下面醗酵のピルスナービールに対して、上面醗酵―発酵の温度や酵母によって製造工程などが違う―を指します)の中でも20%のシェアーが有り、ホワイトビール(小麦を主たる原料にしているビールのことをいう)のジャンルに於いてはなんと75%ものシェアーを誇り、全生産の約30%は海外約50カ国に輸出されているそうです。
原材料にミネラル豊富な水、大麦モルト、小麦、ホップ、の他にコリアンダーやオレンジピール(オレンジの乾皮)等のスパイスを使用し、「フレッシュ&フルーティー」な味わいが楽しめます。 一切ろ過及び加熱を行わず、瓶詰め時にも2次醗酵用の酵母と少量のシュガーを加え、瓶内(樽内)醗酵が行われ熟成が楽しめるビールです。
生きた酵母をそのまま瓶詰め(樽詰め)している為に、淡黄色で乳白色のナチュラルなビールとなり、瓶の中の酵母の働きにより、瓶内発酵が行なわれご自宅で熟成を楽しむこともできます。
「ちなみに・・・」
隣の国のドイツでは、水、大麦モルト、ホップ以外で出来たビールは邪道とされ、上記で言うスペシャルビールは嫌われています。フランスでは純粋にホップ、大麦だけで出来たビールは珍しく、ハーブなどが入ったビールが数多くあります。ベルギーはフランスの影響を大変に受け、ハーブ、フルーツ、様々なものをビールの原材料に取り入れています。
ヒューガルデン村の醸造の歴史は1000年代前半にさかのぼります。
ヒューガルデン村の資料館に保存されている文献には、既に1318年にはビールが醸造されていたと記されています。
15世紀にはこの地でホワイトビールの醸造を始め、この地区のほとんどの場所でこのビールを飲む事が出来たといわれています (現在ではこの地でビール製造をしているのは少なくなりましたけど、全盛期では、村人57人に一軒の割合でビール醸造所があったそうです)。
日本でも、ビールや発泡酒(このヒューガルデンも日本の分類上では発泡酒扱いですがやや値段が高い)、第三のビールなどを一番飲まれる季節がやってきましたが、喉越しだけではなく、味わいや、たまには違ったビールの楽しみを味わって、世界を広げてみては如何でしょう。
「ちなみに・・・」
日本でも過去(約24〜25年前)、上記のビールが売れているのを聞き、技術を真似して儲けをたくらんだ浅はかな考えのメーカーがありましたが、その当時は、国民性やビールに対しての日本人の考え方が固定されていて、味わいのある、酵母が生きているビールは受け入れられなかったことがありました。
しかし今では日本国内にかなり多くのベルギービールのお店や、ヒューガルデンホワイトを飲ませてくれるお店が多くなりました。樽(20L樽の)の国内販売もされていて、ベルギーさながらの生ビール感覚で楽しめる場所もあります。
ベルギービールの特徴といえばグラスもそのひとつといえます。飲むビールの種類によってすべてグラスの形が違います。各ビール会社で独自に作られていて様々な形が楽しめます。
ソムリエ、銀座Wine・Bar・Italian「SPACE」取締役支配人。
元ホテル西洋銀座シェフ・ソムリエ。