今月の一本
10月といえば神無月ですね。
昔から10月を神無月(かんなづき)と言う諸説がありますが、ひとつ有名なものに、10月(旧暦の10月11日から17日までの間)日本中の神様が、出雲の国(島根県)に集まり会議を開き、他の国には神様が居なくなってしまうことからそう呼ばれてきたそうですね。神様の集まる出雲の国では反対に10月は神在月(かみありづき)と呼ばれていることも有名ですね。
この神々が集まり行う会議は、出雲大社で開かれ、その後、佐太神社に移動し26日まで会議が続くそうです。この間今でも出雲大社と佐太神社では神在祭が行われています。この会議、人様の運命を決めるようなことが話し合われるとされ、運命の赤い糸を決めることも話されるとか。そのために今でも出雲大社は縁結びの神様として広く知られていますね。
もうひとつ、諸説のひとつとして、お酒(日本酒)の世界ではこの神無月の由来としての言い伝えがあります。
それは新穀でお酒を醸す月なので(難しい言い方かもしれませんが)醸成月(かもしなるつき→かみなしつき)が変わり神無月になったといわれがあります。
醸すとは?
お酒の世界では、お米や(日本酒とか)葡萄のジュースとか(ワインとかでは)に酵母(カビの一種)をまぜ、アルコール発酵をさせる工程を言う。とありますが、説明は硬く難しくなりますので、知りたい方はご連絡ください。難しくご説明致します。
旧暦ではなく今の暦では10月になると作物の収穫が盛んになり、特にお酒関連では世界中で忙しい月の始まりになっているのではないでしょうか。
例えば、ワイン。北半球では9月から10月にかけて葡萄が収穫され今まさに葡萄ジュースがアルコール発酵(醸し)を始めているときです。
日本酒でも、お米が収穫され今まさにお酒造りの第一歩が始まっております。
紹興酒でもウイスキーでも、作物を収穫してこれから今年の「お酒」が造られます。
昔の人はうまいことをいいますね。今まさに「醸成月」です。
さてそろそろ、今月のお酒を紹介いたします。
私たち、いわゆる「ソムリエ」が大変に驚いたワインが、神在月になっているこの出雲の国にありました。その名も「奥出雲シャルドネ」。
4年前の12月か年明けの1月に、諸先輩方に「ブラインド」するから(目隠しでワインの評価をすること)一緒に来なさいと言われ、わくわくしながらワインの入ったグラスを持ち、鼻にそのワイングラスを持っていき、香りをかいだ時、諸先輩方も驚いていられたのが印象的です。私ももちろん驚き、バランスなどでかなりの上物であることは分かりましたが、国、葡萄品種、年代などがはっきり分からず、しばらくしどろもどろ。先輩方も同じようでありましたが、超有名な大先輩がひとこと「日本だな」。先輩方も納得!産地は?誰もその先は分からないままでした(超有名な先輩は解っていたみたいですが答えは言ってくださらなかったですね)。
「こんなに素晴らしいワインを日本で造ることができるなんて」と先輩の締めの言葉。自分でも買って飲んでみましたがやはり素晴らしい。但し、造られる本数が少なくなかなか手に入らない。何本か購入したかったのですが売り切れ。去年も同じように購入を試みましたが売り切れで我が家には来ることができませんでした。
この奥出雲シャルドネ、2001年ものの葡萄(だったと思いますが)からつくりはじめたまだ日の浅いものですが、毎年3000本ほどしか造られてなく、販売されたら瞬く間に売り切れ。そのために今年はいつ販売開始なのかかなり期待をして待っていました。4月ごろに手に入れることが出来、早速味見。確かにうまい。熟成したらどうなるのだろうか未知の世界がこの中には詰まっているみたいです。今年は店売り用の2ケースは確保できましたが、あっというまに売り切れ。素晴らしい評価とともに「また来年!」です。
ただ、個人用でストックをしたいと考えて1ケースをお願いしたところ、またしても売り切れ!なんともはや情けない「ソムリエ」です。個人熟成用はまた来年以降になってしまいました。
2004年物のソムリエらしいコメントとして
「色合いはやや黄色みがかり輝きがある。グラスに注いだ瞬間からグラスの外にまでこぼれるほどの果実の香りと花の香り。グラスを少し回すと、スパイスの香りも感じることが出来てくる。フランスの高級ワイン産地の白ワインのように、フレッシュな南国の果実が多く感じられ、ナッツ香やカリンの香りが、時間が経つごとに出来てくる。温度が上がるにつれてバターの香りやバニラの香りが感じられる、など」かな?
こんなに素晴らしいワイナリーですが歴史はまだかなり浅く、1990年このワインの産出する葡萄園である奥出雲葡萄園が設立され、今回紹介しています「シャルドネ」の葡萄品種が植えられたのはなんと1995年になってからです。
もともと有機農法を志していた親会社の木次乳業が子会社として葡萄園をたちあげたので、日本の葡萄から造られるワインは山葡萄交配品種を中心に化学肥料や農薬の使用を可能な限り控えて造られています。シャルドネやカベルネソービニヨンといったヨーロッパ系葡萄品種は病虫害に弱く、今までは大量の農薬を必要としていましたが、農薬を極力つかわない方法と日々の努力とで、病虫害の被害を抑える苦労をかなりされているようです。
湿度、温度、天気などに大変作柄を左右される農作物造りですが、生産量によっては消費者に大変影響が出てくる“値段”。その作物を贅沢品である「お酒」に姿を変えても毎年の作柄や生産量によって大変値段に大きな差が出てきます。特にフランスやイタリアのワインの値段の差は激しいものがありますね。しかしながら日本国内の日本酒やビール、国産ワインに関しては毎年ほとんど変わらず一定の値段で不思議に販売されていますね。これを日本人のお酒愛好家の方々はありがたいことと思わずに、値段が上下しないのは当たり前のことだと思って飲んでいるみたいですね。少しは感謝しなければいけないのでは?ビールも日本酒も焼酎も値段が毎年同じなのは造ってくださっている方々の大きな心からだと私港は思っています。
生産者の方々は毎年作物の作柄や生産量を神頼みし、いいものを安い値段で消費者の方々に飲んでもらいたいと思っているようですね。神頼みだけで農業を行っているわけではないでしょうが、天候は左右できないですからね。これだけでも農作物を作ってくださっている方に頭が上がらない思いがします。もちろん天候に左右されない技術などを駆使しながら絶え間ない努力をされていることは承知しております。
世界には有名な酒の神様「バッカス」が居ますが、日本にこれだけヨーロッパをはじめ世界中のお酒が入ってきた以上、世界のお酒の神様「バッカス」も日本の会議に参加していたりして。(もちろん日本にも有名なお酒の神様がいますが、またの日本酒のご案内の機会にご説明いたしますね)
日本のお酒の神様はやはり今は出雲ですかね?
出雲には「神」が住んでいるのか、奥出雲シャルドネを飲んでみるとそう思いたくなるワインです。
神なくしてこれだけの味わいは出ないのでは?いや、神の手を持っている方々が造ってくださっているからこの味わいが出るのでしょう。
私より先に今年の葡萄で作られた醸成月(かみなしつき)の奥出雲シャルドネを手に入れられたらどうか自慢のコメントをお願いいたします。今度こそは(来年の3月か4月ごろになるでしょうが)皆様に飲まれる前に自宅用に1ケース買えることを祈って。






