小僧の庭
■オーナーからのリクエスト
「人が集えて、部屋からそのまま出られる庭」が、今回オーナーからいただいたリクエストでした。
■デザインコンセプト
1. 「デッキと囲炉裏を作る」
まず、人が集えて部屋からそのまま出られるようにというご依頼から、リビングの床の延長のように広がるデッキと、リビングの暖炉に火を焚くとさぞや気持ちいいだろうという話から、みんなが火を囲んで楽しめる囲炉裏を作ることにしました。
デッキとベンチに同じようなアールをもたせた形にデザインすることで、リビングから見た時にのびやかな広がりを感じさせるようにと考えました。
2. 「家と庭との調和を考える」
A氏の先輩が設計したという家は、フランクロイド・ライトの弟子と言われる遠藤新氏の息子さんによる設計で、床を低くして地面と家を一体化させ、縦と横の線がきれいに配されている素敵なデザインの家で、玄関を入った時に、横広がりの庭がぱっと目に入ってくる設計でした。
そこで、庭の正面にはポイントとなる木を植えて、家に入ったとたんに緑が印象に残るような、そんな庭にしようと思いました。
フェンスを横のラインにしたのも、家との調和を考えてのこと。フェンスやデッキ、囲炉裏の色合いも家との一体感を重視しました。
3. 「緑につつまれている感覚をプラス」
植物に関してはできるだけローメンテナンスなものに、というご依頼でした。デッキや囲炉裏の回りには広葉樹を植え、草花は鉢植えを中心にしました。メインの庭のほかに、キッチンの窓下にも植物を植えるウインドーボックスを設置しました。リビングに座ると、すでにあった温室と合わせて、リビングが緑でぐるりとつつまれている感じになるというわけです。
■施工
当初、囲炉裏の回りはレンガの予定でしたが、左官の棟梁が庭の土を使った「たたき」の作り方を指導してくれるということで、A氏や私、ボランティア2名も参加して手作りしました。
以前から現場の土を材料にして何かできないかと考えていたので、うれしい試みです。掘りあげた土を乾かし、それに石灰とホワイトセメント、砂利を混ぜて作ります。土の部分との一体感が増し、ローコストというのも魅力です。これから積極的に取り入れていこうと考えている工法のひとつです。
作業そのものはかなりの重労働でしたが、「たたき」にA氏のサインを入れて完成したときは清々しく、とてもよい思い出になりました。A氏の中でも、庭に対する愛着がグッと増したのではないでしょうか。
庭造りのプロセス
位置決めと寸法だし
たたき、イロリ、ベンチの位置は、実際の庭に立ち一番気持ちのよい場所を図面より割り出し指示。何事もはじめが肝心。あせらず、確実に作業をすすめる。
たたきのラインやベンチの立上りを決める
ベンチとなる部分の土を耐火レンガで土留め。これでたたきのスペースとベンチの立上りがよりはっきりとなる。
たたき打設と左官工事
いよいよ A 氏とボランティア、もちろん私やスタッフも参加しての左官工事。
木製のデッキとフェンスを作る
次は木工作業。ますます庭らしくなって、わくわくしてくる。納まりをチェックしながらの気の抜けない作業となる。
いよいよ植栽工事。庭に表情が生まれる。
ベースができて、いよいよ植栽。植栽は一本として同じ姿のものはない。これで庭としての表情が生まれてくる。あれこれ試行錯誤しながら、絵を描くように作業を続ける。
■完成後の楽しみ
完成した囲炉裏の庭では友人を招いてのバーベキューや、囲炉裏にダンボールをかぶせて燻製作りにチャレンジするなど、ご希望通り「人が集える庭」を満喫されているようです。また庭の落葉を集めて落葉焚きもできるなど、便利な利用法もあるとのこと。
デッキはちょっとしたティータイムや、読書タイムの場所にもなっているとのことで、まさに「リビングに続くもうひとつの部屋」として、楽しく活用されているようです。
こういうお話を聞くと、設計者としてうれしい限りです。

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