
2006年から新しくなった本会場。中央に
通る通路の両脇に各パビリオンが位置
する機能的な作りに生まれ変わった!
4月、今年も行って参りました、年に一度のサローネ・モービレ@ミラノ。
ヨーロッパの主流家具メーカーやデザイナーが新作を発表し、集う、ファニチャーフェアなのです。
B&B、カッシーナをはじめとする老舗メーカーから、今をときめくデザイナー達を登用したスワロフスキーのシャンデリア、フェンディ、アルマーニ、ドルチェ&ガッバーナ、ボッテガベネタ等々のファッションブランドのホームコレクション、さらにはニューデザイナーの宝庫とも言えるオランダや北欧の若手デザイナー作品等々、6日間にわたってミラノの街中に点在するショールームやギャラリー展示、歩き回ってきた次第!
その中から、このコラムの第1回にご紹介するのは長い歴史を経て成熟を重ねてきた職人技とモダンデザインを融合させたガラスモザイクタイルのメーカー『Bisazza』。まさしくイタリアンモダンの粋。
まずは今年のサローネで発表されたショールームのインスタレーションから。

人気デザイナーPatricia Urquiola 、Carlo Dai Bianco、Marco Braga & Storageなどがそれぞれのテーマにガラスモザイクを使って空間を演出。白地に青を用いたウルキオラ女史のデザインはとてもエキゾティック。
家具やスクリーンに施されたモザイクタイルが紡ぐ表情のすばらしさ!
贅沢な空間に展示されたデザイナー作品を見るにつけ、やはり西洋建築に置けるタイルの歴史が脈々と息づいている文化、というものを感じずにはいられません。
そうそう、モザイクタイルといえば、昔ポンペイ遺跡を訪れた際、大鉢にモザイクタイルで海のモティーフやアルファベットが施されているのを見た記憶があります。
ナポリの考古学博物館では出土品として様々な模様のモザイクをも見ることができますしね。
ローマ帝国時代に数多く造られた教会を彩るビザンチンモザイクタイルの装飾、アート…。宗教的な建築物などに多く使われてきたそれらのアーカイブには様々な歴史と共にその時々のデザインソースが秘められてきたのかもしれません。
一方日本では…石の文化の西洋に比べ、やはり紙の文化と称されるだけあり、(地震国という負の要素も大きく)、マテリアルとしても、その表現技術においても、やはり成熟度が足らない現状にあるといえましょう。
閑話休題。
前述した西洋の歴史を背景に『Bisazza』は毎年サローネ・モービレで「モザイクタイルで何ができるのか?」という一つの答えを知らしめてくれています。
では振り返って2004年のインスタレーションから。

花柄パターンはマルセル・ワンダースのデザイン。L型椅子の画像は表面にソフト素材のシートを貼り、ソノシートの上にタイルを。実際に座るとフニャっとなる不思議な触感でありました。
同社のアートディレクターを務めていたファビオ・ノベンブレのオフィスで行われた展示作品。ファニチャーに施されたモザイクタイルの新しい表情が印象的でした。
次は昨年2005年。
この年はアートディレクションをオランダ人マルセル・ワンダースに任せ、これもまた度肝を抜く展示に仕上がっています。
ゲートをくぐると…全面モザイクタイルが貼られたミニ……それもなんの違和感なくデザインされているではありませんか!!!

三次元曲面にモザイクタイルを貼るには高度な技術が必要とされる。
これはデザイナーの意図を制作サイドがとことんこだわったからこその結果? 一体一台の車を貼るのにどのくらい時間のかかるものなのか???
こういった手加工主体の技術を支えている職人と日常に潤いを与えてくれるデザイナーとのコラボレーションを推称し、さらなる可能性を提示し続ける『Bisazza』が、はたして来年どんなエキシビションを私たちに魅せてくれるのか…今からとても楽しみです。
同時に日本のメーカーやデザイナーのモザイクタイルを使った作品を見る機会が早々に訪れることもちょっと期待しつつ…。
以上、よく目にする「モザイクタイル」のこれまでの使われ方を超えたデザインの数々でした。
私たちが生活の中で何気なく使っている素材には、まだまだ可能性が広がっています。新しい使われ方を知ると、なんだかワクワクしてきますよね。
思いついたときでいいので、ときどき今までの常識とは違う新しいアイデアを生活に加えてみる。そんな工夫の積み重ねで「アートのある暮らし」が実現するんだと思います。
これから月に一度、このコラムで生活空間への刺激を皆様にお届けしたいと思います。
プレゼンテーションを抱えて睡魔に襲われている日曜日の深夜に記。
茂木雅代
スタイリスト。
照明器具デザイナー、生活雑貨関連会社での商品企画・輸入商品のバイイング担当などを経てインテリアスタイリストに。多数の雑誌やCMのスタイリングを手がける。近年は企画展示会場構成・展示スタイリング、新築マンションのインテリアコーディネイトなどにも従事し幅広く活躍中。