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ライフスタイル l'ART de VIVRE - アートのある暮らし

第3回:なくてはならないものこそ、こだわって 文=茂木雅代 インテリアスタイリストとして、雑誌やCM撮影で活躍する茂木雅代さん。そんな彼女がセレクトする、アートと呼べるようなこだわりのモノを毎月一点ご紹介します。それを毎日の自分の暮らしにどう取り入れるか、それによりどうやってワンランク上のライフスタイルを実現するか、そのヒントがきっとここにあります。

私には美大生の時からず〜っと片思いのラウンジチェアがあります。なぜ片思いかというと、ネコを飼っているので布貼り家具はまず家に置けない… 置いたとたんに爪研ぎの餌食になってしまうからです。 で、その想い人?は、マルコ・ザヌーゾがデザインした「レディ」。しかもカラーは絶対に赤じゃないとダメ!

頭の中では、いつもこの椅子を中心に私の理想の住まいが構成されてゆきます。

しかし実のところ、長い間「レディ」を置いた空間にぴったりのキッチンスペースだけ、その絵が描けないでおりました…。

なぜか?
電気・ガス・水道と、キッチンスペースにはすべての「設備」が備わらなければ成立しないという宿命があり、そのことがキッチンをインテリアから遠ざけてしまった、ということでしょうか? だから新たに家を建てるとかマンションを大々的にリフォームするとか、そういった機会がないとこれがなかなか現実味を帯びてこない。

このような理由で、私の頭の中でキッチンはズ〜ッとあれこれ想像するのが難しいアイテムだったわけです。

一方で、インテリアという括りにキッチンを入れ込もうというメーカー側の戦略なのか? ここ数年あちこちで「リビングにキッチン」とか「キッチン中心の家」などという言葉を耳にするようにもなりました。結果キッチンは機能やサイズが多様化され、選ぶ側にとってかなり選択肢が拡がってきたといえましょう。なのに、だけど、それでもデザインクオリティという意味合いでははたして現状はどうなのでしょうか?

ドイツ製品を筆頭にした機能美あふれたシステムモノ、それはそれでピカッと輝いていますが、テイストが無機質すぎるようにも思います。
フランス製品のようなニュアンス重視のシステムモノだと逆に甘過ぎるかもしれません。
いずれにしても「レディ」は、個人的見地で言えばどちらとも似合わないままなのでありました。

思い起こせば今から6年程前、イタリアはミラノの高級ブランド街の近くで、キッチンのある、相当格好いいディスプレーに偶然出会いました。
それはキッチンと言うよりももはや丹念にデザインされた「家具」。
キッチンのカウンタートップに置かれた何の変哲もない白い食器でさえかっこよく見えてくる空間が、そこにはあったのです。
ガラス張りのウィンドウには「Boffi」の文字が描かれていました。

後から分かったことですが、それはXila2.3というもので、1961〜1962年にLuigi MassoniによってデザインされたE15を原型とするBoffiキッチンコレクションの中でもっとも歴史的なモデルだったのです。
まさしくショールームで一目惚れ状態。

<Xila2.3>Luigi Massoni 50年代のミラノで、建築家、デザイナーそしてフリージャーナリストとして活動を始める。60年代にはBoffiのデザイナー、アートディレクターとして活動。(hhstyle.comより抜粋)

当時日本に代理店が無く、再びミラノを訪れない限り見られないかもしれないキッチン、それこそがまさしく赤い「レディ」(※1)を置いた私的バーチャル空間にぴったりだったのです!!!

Boffiのキッチンはマテリアルの組み合わせがとてもエレガントです。なおかつ金属を用いたカウンタートップやパーツの柔らかい光沢感が「ちょっとくらいなら散らかしても大丈夫さ!」といってくれています。ミニマルな空間で生きるデザインでありながら使用中もかっこよく見える、そんな懐の深さを感じました。

hhstyle.com/casa(※2)オープンと同時に日本にも上陸したBoffiですが、実は最近キッチン&バスのショップが青山にリニュアルオープンしたばかり。
場所は外苑前にあるhhstyle.com/Boffi 青山(※3)で、他にも何タイプかのライブキッチンを見ることが可能です。

1980年にAntonio Citterio, Paolo NavaによってデザインされたFactoryと1984年Pepe, TanziによりデザインされたGrand Chefの2モデルを組み合わせたモデル

現在Boffiのアートディレクターである Piero Lissoni が2002年にデザインしたキッチン。一枚でつながるステンレスのワークトップは、そのディティールにも目をみはるものあり。ミニマルな表情のその内側には様々な機能が盛り込まれています

もちろんBoffiのキッチンは"Top Quality Kitchen" と呼ばれるだけ合って誰でも手に入れられる代物ではありません。
が、料理をするのが大好きな人も、お湯しか沸かさない人も、ほとんどの人の家にはキッチンが存在しているはず。
なくてはならないモノであれば思いっきりこだわって選ぶのも必然です。
実物を前に、6年前の私のように一目惚れをされる方もいらっしゃることでしょう。

追記
hhstyle.com/Boffi 青山にはキッチンのみならずバスエリアの展示もあり、こちらも一興。

現在Boffiのアートディレクターである Piero Lissoni が2002年にデザインしたキッチン。一枚でつながるステンレスのワークトップは、そのディティールにも目をみはるものあり。ミニマルな表情のその内側には様々な機能が盛り込まれています

バスタブ「I FIUMI」
Claudio SilvestrinデザインのこのバスタブはBoffiの象徴的なバスタブともいえます。サイズはW1900とW2100の2種類。

関連情報w

※1 「レディ」
1951年にアルフレックスから発売されたロングラン商品。
人工素材を用いることでなめらかなフォルムを実現。当時の伝統的な家具の常識をくつがえした歴史的な1脚。
今日でも時代を感じさせないモダンで機能的なアームチェア。
取り扱い:アルフレックス ショップ東京
〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクェア1F
tel. 03-3486-8899 Open:11:00〜19:00  定休日:水曜日


※2 hhstyle.com/casa
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-14-5
Tel: 03-3400-8821 Open: 12:00〜20:00


※3 hhstyle.com/Boffi 青山
〒107-0061 東京都港区北青山 2-7-15 NTT青山ビル エスコルテ青山
Tel: 03-5772-1112 Open: 11:00〜20:00

茂木雅代(もてぎまさよ) Masayo Motegi

スタイリスト。

照明器具デザイナー、生活雑貨関連会社での商品企画・輸入商品のバイイング担当などを経てインテリアスタイリストに。多数の雑誌やCMのスタイリングを手がける。近年は企画展示会場構成・展示スタイリング、新築マンションのインテリアコーディネイトなどにも従事し幅広く活躍中。
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