I(アイ)を育む
前回は、「中長期投資」、「逆張りの発想」をキーワードにお話を進めました。大きく変化をしている現在の市場環境は、このキーワードを実践する好機と感じておりますので、今回は、株式投資のタイミングについて、お話をしたいと思います。
今年に入り、ライブドア事件を引き金に、日銀の福井総裁をも巻き込む村上ファンド事件と、株式市場を中心に金融市場は混乱しています。市場の混乱は、国内のみならず、インフレ懸念の膨らむ海外市場においても、非常に大きなものになっています。
株式市場の方向性を考える上で重要な要素に、買い手と売り手の関係とも言える需給関係があります。ということで、ここ数ヶ月の需給関係の概要をいくつかの側面から確認してみたいと思います。
外国人投資家による売買動向
昨年の株式市場における売買動向で目を引くのが、外国人投資家による売買動向と個人投資家の信用取引による売買動向です(※信用取引とは、株式や株式購入の資金を証券会社より借り入れて、株の売買を行う取引手法を言います)。
外国人投資家による売買動向については、昨年夏から年末にかけ、1ヶ月の売買額が1兆円を大きく上回る水準に増大しましたが、今年に入り、5000億円を大きく割り込んでおり、このセグメントによる売り圧力はだいぶ落ち着いてきました。
個人投資家による信用取引の売り圧力
一方、個人投資家セグメントが主要なプレーヤーである信用取引については、主要3市場(東京・大阪・名古屋の証券取引所)における買い残が昨年秋から今年の年初にかけて大きく増加し、2003年年初には1兆円程度であった買い残の金額が、適正水準の上限と言われる3兆円を大きく越え、今年の春には6兆円規模にまで達しました。
信用取引の場合、制度的に6ヶ月の期限があり、その期間内で反対売買を行う等の決済が必要になるため、株式市場が下落局面にある場合は、積み上がった買い残が短期間のうちに売り圧力に転じます。
6月16日現在の主要3市場における信用買い残は4.8兆円強と、まだまだ高い水準を維持しています。
新興市場の売り圧力予想
また、成長の早期段階にある企業群が多く名を連ねるジャスダック市場における信用の買い残は、同6月16日現在で2800億円強となっています。
ちなみに、6月16日の売買代金を見ると主要3市場で2.8兆円強、ジャスダックで900億円強ですから、積みあがった買い残が、今後どれほど大きな売り圧力になる可能性があるかがわかります。信用取引の現状を見ると、個人投資家セグメントからの潜在的な売り圧力は当面続くものと予想され、その傾向は新興市場でより顕著であることがうかがわれます。
機関投資家によるプログラム売買
一方、プロの投資家である機関投資家が主体のプログラム売買に伴う現物株売買の残高も定期的に公表されています。プログラム売買とは、一定のルールに従い、あらかじめ設定したコンピュータ・プログラムに基づいて行う売買のことをいいますが、例えば理論価格と市場価格を比較するようなルールを構築し、先物と現物株式の間の裁定取引が多く行われています(※裁定取引とは、株式指数の現物と先物など、価格変動において同一の性格を持つ2つの商品の間で、割安な方を買い、割高な方を売ることにより、理論上リスクなしに収益を確定させる取引を言います)。
6月16日現在のプログラム売買に伴う現物株の買い残は、今年春の4.7兆円弱から3兆円弱の水準にまで低下しており、調整は比較的短期間に進んだ模様です。
売り圧力が強い今こそ、真の元気印企業への投資チャンス
さて、以上の需給関係を整理してみると、プロの投資家セグメントである機関投資家、また外国人投資家も多くが機関投資家であると思われますので、これらプロのセグメントにおける需給の調整はかなり進んだと思われます。
一方で、新興市場を中心に、個人投資家セグメントにおける需給の調整はまだ不十分と言わざるを得ません。特に日本の若い元気印企業が上場する新興市場の場合、流動性も少ないため、調整には時間がかかります。
売らざるを得ない売り圧力があり、玉石混交で売られているからこそ、安い投資コストで(これがとても大切なことです!)真の元気印企業に投資を始める、あるいは投資を積み上げることができるのです。
ということで、ここからの数ヶ月は、「中長期投資」、「逆張りの発想」を実践する好機が久しぶりに訪れている〜そんな局面と捉えています。






