I(アイ)を育む
“I(アイ)を育む”のテーマで、投資に関するお話を進めてまいりましたが、今回が最終回となります。骨子は、資産運用における中長期の視点のご紹介でした。今回は、締めくくりとして、株式投資を育むための留意点について、私の感じているところをお話したいと思います。
私事、十数年、機関投資家として株式運用の業務に従事しておりましたが、運用規模が数千億円になりますと、銘柄選択はもちろんですが、それぞれの銘柄の組み入れ比率を考え、望ましい株価で売買を実行することが、実は大変でした。銘柄組入れ時、その理由、適正株価の分析、投資期間の前提などを確認しますが、売買に際しては、自らの資産規模のせいで、株価を必要以上に上下させないよう、売買のタイミングやポジションを作る期間等にも注意が必要でした。その際、最も重要であったのが、逆張りの視点でした。特に成長の早期段階にある企業への投資となると、株式市場での流動性が少ないため、投資資金の規模によっては、株価を押し上げてしまう場合が出てきます。更に市場が既に注目している場合、望ましい株価でのポジション作りは、ほぼ不可能です。どんなに良い企業でも、その良さを株価が織り込んでいれば、株式投資としての魅力は薄まります。ということで、既に株価が上昇してしまっている銘柄については、投資のタイミングを見直したり、短期的に悪いニュースが出て売られている時にポジションを作るなどの投資行動が不可欠でした。また、市場がその潜在成長性に気づいていない、あるいは時期が早すぎて評価をしていない企業への投資の場合は、株価を刺激しないよう、数ヶ月をかけてポジションを構築することも少なくありませんでした。このように、望ましい株価への配慮を行うと、年間延べ400社から500社の企業の説明会や個別取材に参加しながら、実際にポートフォリオに組み入れられるのは数十社のみというのが実態でした。良い企業と思うと、どうしても目の前の株価を追いかけがちなのですが、自己抑制できずに慌てて作ったポジションで、思った通りのパフォーマンスを実現したことは、残念ながらほぼありませんでした。一方、実際に組み入れまで至り、投資期間を中長期に設定している銘柄の場合、じっくり保有することが普通でした。市場がその良さに気づく局面で出来高を伴う株価上昇が始まりますが、その局面が何時来るかについて、ある程度の予想はするものの、殆ど当たることはありませんでした。そのため、気長に育てる、という投資スタンスを持たざるを得なかったというのが本当のところです。
このように、“I(アイ)を育む”には、日本の元気印企業の発掘のみならず、中長期・逆張りの視点に基づくポジション作りの双方が重要でした。そして、その双方を実現できた投資は、本当に「育む楽しみ」を与えてくれました。育むためには、種子や苗のみならず、それを培う土壌を耕すことが重要であるというのが、私の実感です。
どころで、前回お話しておりました外国為替証拠金取引の口座開設を行いました。どのような取引業者を選ぶかについて、セミナーでもご質問が出ておりましたが、より安い手数料や取引レートを提供できる背景には、その業者さんの外国為替取引規模があります。このため、どのような取引インフラを有する業者さんであるかを知ることは重要と感じました。また、投資スタンスをトレーディングにするのか、投資にするのかの前提は、決して中途半端にしてはならないということも再確認しました。これから、長期投資をスタートさせようと思っています。
最後に、 “I(アイ)を育む”シリーズにお付き合いいただきまして、本当に有難うございました!






