勝手に進化論
えーっ! ワシにインタビューかいな。照れるがな。で、何て紹介されますのや。なになに、「ニワシドリ、別名・アズマヤドリの中のアオアズマヤドリ」、なんやコレ。えっ、庭師鳥(四阿鳥、青四阿鳥)ちゅう意味やて。かなんなぁ。ワシら、庭いじりなんて、やってまへんで。
何? 四阿(あずまや)をこさえてるやないかて? アホなこと、言いないや。鳥がそんな風流やってどないしますねん。あれはな、人間の世界で言うたら、四阿というよりラブホテルの豪華ベッドですがな。「ええやろ、ええやろ、グッとくるやろ。天蓋つきやで。ほら、こっちゃのボタン押したら、回転だけやのうて、モコモコモコモコ、ベッドが動きよる。あっちには、ほれ、メルヘンチックなリゾート風バスや。どや、気分でたか」てなもんや。
そんな実利がなかったら、わざわざしんどい思いして、あないなもんこしらえますかいな。だいたい、ワシら鶴とか鴛(オシドリ)とかと違おて、浮気もんですさかい、あんたらが四阿て名づけた場所で、いろんなネエちゃんとエッチしますんやで。ラブホのベッドというたとえが変やったら、ネエちゃん引っかけるための外車や思てもろたらよろし。「ヘイ、どや、かっこええやろ、乗って行かへんか」で、引っかかる女は少のうないんやろ。ワシらも、「ヘイ、ネエちゃん、かっこええやろ、入っていかへんか」ちゅうて、呼び込むわけや。
そやさかい、ベッド(四阿)はそら丁寧にこさえるで。人間の色事師やスケコマシかて、女をイテコマスまでは、えらい気い遣いよる言うやないか。ええ思いをするには、そんだけ努力せぇへんとな。
早い話、ワシらの仲間は昔から「色の道」一筋に生きてきたんやな。そやから、進化もみんな色気のためや。だいたい、これを「進化」と言うてええもんかいな。確かに、ほかの鳥とは違うことやって、あんたら人間からニワシドリなんちゅう、有りがたい名前までいただいたけど、それでほかの鳥より得したこともないし、ワシらだけ特別に繁栄しとるわけでもあらへんからな。
まあ、せっかくやから、スケベなおっさんの昔話や思ぅて、ちょっとワシらの歴史を聞いてってくれるか、ニイちゃん。
<続く>
<お断り>
本書は、進化論をテーマにした小説であり、進化論を科学的に論じたものではありません。進化の過程についても、一般的事実として確立されているもの以外は、あくまでも想像(空想)に基づくものです。あらかじめご了承ください。(筆者)






