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旅 パワースポットの神秘

第1回 ラパヌイ(イースター島)のモアイ像	チリ 文・マーティン・グレイ 訳・稲田智子 パワースポットとは、地球のエネルギーが特に集中して現れる場所。訪れた人に不思議な力と安らぎが与えられる場所です。日本では江原啓之さんがその力を紹介しています。パワースポットの第一人者として世界を巡るマーティン・グレイさんの著書「聖なる土地の力」から、マーティンさん個人にとっても重要な6ヶ所を選んでシリーズでご紹介します。

28歳で始めた旅行ビジネスが成功を収めつつある時、一方で虚しさを感じていた。ある夜瞑想をしていると、イースター島のモアイ像が眼前に現れ「ここに来なさい、ここを出発点に、お前の祈りに対する答えを見出していけるだろう」というメッセージを残していった。

第1回 ラパヌイ(イースター島)のモアイ像 チリ

世界で最も有名なのに、最も訪れる人の少ない考古学遺跡があるイースター島は、面積約160平方キロメートル、チリ本土の海岸からおよそ3700キロメートル沖に浮かぶ島である。最も古い呼び名は「テ・ピト・オ・テ・ヘヌア」で、“世界のへそ”という意味だ。また1860年代には、タヒチの水夫たちから“偉大なるラパ”を意味する「ラパヌイ」と呼ばれていた。そして最もよく知られた名「イースター島」は、ヨーロッパ人として最初にこの島を訪れたオランダ人船長のヤーコプ・ロッヘフェーン(訳注 1721年にオランダ西インド会社の命令で出航し、太平洋を横断した)が、発見日が1722年のイースター・サンデーであったことにちなんで付けた名前である。1950年代初頭にノルウェー人探検家トール・ヘイエルダールが、イースター島にはもともと南米大陸の海岸沿いの地域から移住してきたアメリカ先住民が住んでいたのではないかとの説を唱えた。だが考古学や民俗学、言語学に基づいた調査が行われた結果、この仮説は間違いであったことがわかった。現在では、イースター島の原住民はポリネシア人の系統に属し、4世紀頃にカヌーでこの島にたどり着いた100名に満たない人たちが起源であると信じられている。彼らが到着した頃、島の大部分は森に覆われ、森に棲む鳥たちがあふれていた。おそらく海鳥にとっても、ポリネシア一帯で最も繁殖に適した土地だったのではないだろうか。鳥や魚、植物などの食料が豊富であったことから、人口が増えて、豊かな宗教や芸術的文化が生まれることとなった。
イースター島で最も有名なのは、モアイと呼ばれる巨大な石像で、かつては少なくとも288体がアフと呼ばれる石の台の上に立っていた。平均すると高さ4.5メートル、重さ14トンのモアイ像のほとんどすべてが、島内のラノ・ララク火山の石を切り出して作られたものである。島の木材で作ったそりやころを使い、野山を横切ってモアイ像を運ぶには、像の大きさから考えて50〜150人の人間が必要だったと思われる。モアイ像やアフは、500年頃にはすでに使われていたようだが、大半の像が作られたのは1000∼1650年の間である。
モアイ像を彫って立てるという発想は、ポリネシアのほかの地域でも見られる同様の習慣をもとにして生まれたのではないかと学者たちは推測している。考古学や図像学の側面から行われた分析の結果は、像の崇拝は男性的イデオロギー、つまり人に似せた象徴物は血統を重要視した支配体制を反映しているとする考え方に根ざしていたことを示唆している。しかし、モアイ像は単なる象徴物ではなかった。モアイを立て、利用していた人々にとって、像は聖なる霊魂が宿る場所だったのである。古代ポリネシアの宗教では、儀式的な手順に従って作られた石や木の彫刻には、マナと呼ばれる不思議な霊によって力が込められると信じていた。イースター島のアフは、ラパヌイの人々にとっての聖所であり、そこに立つモアイ像は、儀式によって力を吹き込まれた神聖な像だったのである。

関連情報

「聖なる土地の力」

マーティン・グレイの本●「聖なる土地の力」(basilico刊)
内容(「BOOK」データベースより)
パワースポット、そこでは地の「気」と訪れた人の「気」が呼応して、不思議な力と安らぎが与えられる。パワースポット研究の第一人者、マーティン・グレイが書き下ろした聖地における神秘的力についての考察と世界各地のパワースポットを紹介。

マーティン・グレイ

マーティン・グレイ Martin Gray

「ナショナル ジオグラフィック」誌のフォトグラファー。また人類学者として、世界中の聖地や巡礼地を研究し写真に残すという活動に専心している。これまでに25年という年月をかけて100カ国以上を巡り、約1000ヶ所もの聖地を旅してきた。日本でも、1年間滞在し、北海道から本州、九州までを自転車でまわって神道や仏教の聖山、聖地に足を運んだ。10代の頃に4年間インドで暮らした経験があり、以後30年にわたってさまざまな瞑想法やシャーマニズムの手法を実践し続けている。自ら撮影した写真をまとめたスライドショーはアメリカやヨーロッパ各地で上映され、何十万人もの観客を魅了した。また、著者のウェブサイトwww.sacredsites.comには、これまでに1500万人が訪れている。



稲田 智子 (いなだ・ともこ)

翻訳家。神戸女学院大学文学部英文学科卒。大手メーカーを退職後、書籍、雑誌記事など、ノンフィクションを中心に様々な翻訳を手がける。主な訳書に「ひとめぼれの法則―顔から始まる運命の恋」(小学館プロダクション)など。


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